三輪先生のガーデニングABC
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■第6回 「原種チューリップを植えよう」

 秋の園芸シーズンを迎えて、ガーデンセンターにもさまざまな球根が並べられています。この時期に植える球根といえば、何といってもチューリップでしょう。
ありふれているとはいっても、やはり春の庭やベランダにはなくてはならない花のひとつです。
でも、今年は今までのチューリップとは違ったイメージの、少しユニークな系統の品種も植えてみませんか。
最近では標準的な花型のほかにボタンの花のような「八重咲き」や花弁が細く尖った「ユリ咲き」、細く切れ込みのある花弁が狂ったように咲く「パーロット咲き」など、さまざまな品種を園芸店で手に入れることができ、大きな園芸店では100品種以上も売られていますから、選ぶのに困るほどです。

 一般的なチューリップは、何種類かの野生種を元に交配を重ねてできあがったものですが、チューリップには100種もの野生種があって、これまで園芸植物としてほとんど利用されてこなかった種類もたくさんあります。
かつては日本に自生するアマナもチューリップの1種とされていました(今でも学者によってはそう認めています)。
近年ではこういった野生種そのものや、その中から花の美しいものを選抜したり、多少の改良を加えた、いわゆる原種チューリップと呼ばれるものが園芸植物として広く利用されるようになってきました。
山野草的な雰囲気を持ったものも多く、庭木の根もとに他の山野草といっしょに自然風にさりげなく植え込んだり、寄せ植え材料として、これまでのチューリップとはひと味違った楽しみ方のできる種類が少なくありません。
レディ・ジェーン
'レディ・ジェーン'('Lady Jane')。貴婦人を思わせる、閉じたつぼみの形と色合いはとても優雅。
 今回はこういったチューリップのいくつかをご紹介しましょう。イランからチベットあたりにかけて自生するチュリパ・クルシアナ(Tulipa clusiana)、英名レディ・チューリップという種類があって、ほっそりとたおやかに伸びた茎の先に細長く先の尖った、名前のとおりとても優雅な花を咲かせるのですが、これから改良された'シンシア'('Cynthia')という品種は、クリーム黄色の花弁の外側中央部だけが幅広く紅色に色づきます。このため、花が閉じているときは紅色に黄色の縦縞が入っているように見えますが、日中は花弁が大きく星形に開くので、内側の黄色の部分だけが見えるようになり、まったく印象が変わります。また'レディ・ジェーン'('Lady Jane')という品種は花弁の地色が白なので紅白の対比が美しく、花が開くと花底に黄色の模様が現われます。これらと近縁のチュリパ・クリサンタ(Tulipa chrysantha )は全体が小型で花色は'シンシア'に似ていますが、黄色も紅も一段と濃く、また違った印象を与える花です。
シンシア
クリーム黄色と紅色の彩りが美しい'シンシア'('Cynthia')
チュリパ・クリサンタ
'シンシア'より濃い黄色のチュリパ・クリサンタ(Tulipa chrysantha)。日光を受けると大きく開いて、外側の紅色は見えなくなる。
Bloom Field
株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部