三輪先生のガーデニングABC
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  4. 第9回 近年人気のクリスマスローズ

■第9回 「近年人気のクリスマスローズ」

クリスマスローズ
ヘレボルス・ステルニー'ボートン・ビューティー'(Helleborus × sternii 'Boughton Beauty'):一般の園芸品種とは違った野生種の交配から生まれた、よく知られた品種。小型で草丈は20cmほど。
 年が明けると冬もこれからが本番、いよいよ本格的な寒さを迎えます。が、気がつくと庭のそこここにもうチューリップやスイセンの芽が顔をのぞかせています。特にこの冬は年末が暖かかったので、わが家の庭でもスノードロップなどは早々に名前のとおり雪の雫のような清楚な花を風に揺らしています。立春を待つまでもなく、植物たちは土の下で着々と春を迎える支度を進めているのが感じられます。

 まだ寒風の厳しい冬から早春にかけても、庭を彩ってくれるたくさんの花々がありますが、そんな中で最近欧米諸国でも人気が高まっているものにクリスマスローズがあります。毎年各地で開かれる展示会はたいへんな賑わいで、新しい品種も次々に紹介され、ブームはまだ当分衰えそうもありません。
 ところで、クリスマスローズというのはもちろん英名なのですが、この名前が広く浸透しているのは日本だけで、英語圏の諸国でもあまり使われていません。イギリス人に「クリスマスローズ」といっても怪訝な顔をされるかも知れません。

 もともとクリスマスローズという英名は、15〜20種あるとされるヘレボルス(Helleborus)属の野生種のうちのヘレボルス・ニゲル(Helleborus niger)という1種につけられたもので、早咲きのものはクリスマスごろから咲き出すことがその由来です。最近クリスマスローズとして流通している植物はこの本来のものも一部含んではいますが、大多数はこれとは別のヘレボルス・オリエンタリス(Helleborus orientalis)という2月から3月に開花する種を中心に交雑を重ねてできあがったもので、性質はほとんどこれと同じです。本来のクリスマスローズに対して、このオリエンタリスはレント(キリスト教の四旬節)のころに咲くことから、レンテンローズ(Lenten Rose)の英名がありますが、この名前も一般にはほとんど使われません。日本ではクリスマスならだれでも知っているなじみ深い言葉なので、クリスマスローズがヘレボルス属全体を表わす代名詞になってしまったわけです。

 ヘレボルス属の植物はヨーロッパの地中海沿岸から東欧、西アジアにかけて15種あまりの自生があり、さらに大きく飛び離れて中国の四川省に1種が分布しています。この中国のヘレボルス・チベタヌス(Helleborus thibetanus
クリスマスローズ
ヘレボルスには斑入り葉の品種もいくつか知られている。ヘレボルス・フェティドゥスの茎葉に広く黄色の斑が入る品種、'ゴールド・ブリオン'('Gold Bullion')。性質は弱い。
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株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部