三輪先生のガーデニングABC
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  4. 第16回 庭に採り入れたい日本の自生植物

■第16回 「庭に採り入れたい日本の自生植物」

 最近の日本の都市部では、広くて日当たりのいい庭を持つことはなかなか難しいのが実情です。ガーデンセンターでたくさん売られているような、色とりどりの美しい花を咲かせる外国原産の一年草は、日陰の多い庭ではなかなかきれいに咲いてくれないことも少なくありません。このような環境の庭に植えて楽しむ植物として、もともと日本に自生している種類に目を向けてみるのもいいのではないでしょうか。
 豊かな森林におおわれる日本の気候に適応して生育している草花の中には、当然のことながら日陰でもよく育つものが多いのです。これらは改良された外国育ちの一年草に比べて華やかさには欠けるし、花の期間も長くはありません。しかし、それだけに四季折々に変化する庭は日本人の感性にマッチして、心を癒してくれるものでもあると思います。
今月はそんな植物のいくつかをご紹介したいと思います。「なんだ、それだったら知ってる」、というものが多いかも知れません。昔からよく知られているが故に、何となく時代遅れのような印象を持たれがちですが、庭に植えられた幾株かが、忙しい生活の中で忘れていた何かを思い出させてくれるかも知れません。
 日本原産の草花というと、いわゆる山野草として扱われるものが多く、一部の愛好家が鉢植えで楽しむものという印象が強いかも知れませんが、庭植えで楽しめる種類がたくさんあります。大部分の種類は、今でこそ開発が進んで身近に見られなくなっていますが、もともと里山などにふつうに生えていたものです。ですから、ちょっと山間地へ入ると手近なところで咲いているものを見かけることも多いと思います。しかし、自生地の株を掘り取るようなことは慎んでください。これは自然保護の立場からも当然ですが、花が咲いているような株を無理に掘り取っても、持ち帰って根づかせることは意外に難しいこと、たくさんの株の中から、花の大きなもの、色の美しいものなどを選んで増殖した苗が生産・販売されているので、どうせならこういう株を植えた方が楽しみが大きいことなど、いくつかの理由があります。
 日本にも庭に植えて楽しめるランがいくつかあります。シランはありふれすぎると思われるかも知れませんが、庭園植物として優れたもののひとつです。白や淡青色など花の色変わりのほか、葉に覆輪や縞斑模様が入るものなど、いくつもの品種がありますが、特に斑入り葉の品種はやや性質が弱く、庭植えではまわりの草に負けてしまわないように、気配りが必要です。日なたでもよく育ちますし、むしろ日当たりのいい方が花つきはよくなります。冬には地上部は枯れてしまいますから、春芽が伸び始める前に、植え替えや株分けができます。芽が伸びだしてしまったら、新芽のつけ根のところがもろくて折れやすくなるので、手をつけない方が無難です。

 エビネは乱獲がたたって手近な山からは姿を消してしまいましたが、品種改良が進んでたくさんの花の美しい品種が手に入るようになっています。特別な花色のものなどは、マニアの間で非常に高い値段で取引されていますが、庭植えでは手ごろな価格のもので十分に楽しめます。日ざしの強いところでは葉が傷んでうまく育たないので、西日の当たらない木陰などを選んで植えましょう。扱いはシランに準じます。
シラン
昔からおなじみのシラン。丈夫で土もあまり選ばず、ほったらかしでよく育つ。
改良された色とりどりのエビネの品種
改良された色とりどりのエビネの品種。樹陰のやや湿ったところを好むが、あまり日陰だと咲きにくくなる。葉が地表に広がるので、落ち葉などを敷いて泥ハネで汚れないような配慮が必要。
Bloom Field
株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部