■第30回 「これから植える青い花の小球根 」 |
暑い暑いといっているうちに、いつの間にかお彼岸も過ぎ、秋の園芸シーズンもたけなわになってきました。10月は春の庭を彩るいろいろな球根を植え込むのにいちばん適した時期です。秋に植える球根といえば、チューリップやスイセン、クロッカスなど枚挙にいとまがありませんが、今回はそれらの中でちょっと脇役的存在である小型の球根類のうちでも、ブルー系の花を咲かせるものをいくつかご紹介します。春はブルーの花が輝いて見える季節でもあります。 |
ヒヤシンスの原種に近いと思われる一系統。 近代の園芸品種に比べると貧弱だが、 花立ちがよく野趣に富んだ姿が見直されている。 さて、ヒヤシンスは長い間植物分類上はユリ科に位置づけられていましたが、最近のDNA分析などを根拠にした分類の再検討の結果、ユリ科が解体されて大幅な編成替えが行われ、新たにヒヤシンス科が創設されて、現在ではこれが国際的に広く受け入れられています。もちろんヒヤシンス科以外にもたくさんの科が新しく作られています。ヒヤシンス以外にもたくさんの植物がユリ科からヒヤシンス科に移されたのですが、この仲間が青い花の春咲き球根の中心になっているのです。これらの共通的な特徴として、 (1)鱗片が重なり合った「鱗茎」とよばれる球根を持っている、 (2)葉をつけるふつうの茎はなく、花茎だけを伸ばす(つまり、花が咲かない球根は地際から葉だけを出す)、 (3)6枚の花びらを持った花を数個以上穂状につけること、 などが挙げられます。 |
最もふつうに見られるムスカリ・アルメニアクムには たくさんの品種がある。 そのひとつ'コート・ダズール'('Cort d'Azur')。 |
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