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この世の中のあらゆるものには名前がつけられています。目に見えないものにさえ名前があります。植物も例外ではありません。そして当然のことですが、この名前は人々の間に共通のものでなければなりません。同じものがあちらでは「A」と呼ばれ、こちらでは「B」と呼ばれていたのでは、正しく情報を伝えることができません。時には揉めごとの原因になることさえあります。
ところが最近の園芸の世界では、こういうおかしなことが日常茶飯事的に起こっています。「A」という植物について相談を受けて、そのつもりで話をしていると、何か話がかみ合わないので、よくよく聞いてみたら、実はそれは「B」だった、ということはまったく珍しいことではありません。また、相談を受けた植物が全然聞いたこともない名前で、資料を調べても出ていない、現物を見せてもらったら名前がまったく違っていた、というのもよくある話です。
ほとんどの場合その植物の持ち主は、その名前で買ったか、もらったかして、それが正しい名前だと思っています。売っている店はどうかというと、これもほとんどの場合はその名前で仕入れてきて売っているだけのことです。経路を遡ってみても、どこでどうして名前が間違ってしまったのか、なかなか突き止められません。 |
外国から来た植物の聞きなれないカタカナ名前だと、書き間違えたり、知らず知らず自分のなじんでいることばに置き換えてしまったり、ということはしばしば起きているようです。こういった間違いは特に悪意ではなく(とはいっても、特にそれを仕事にしている人にはそれは許されませんが)起きる場合が多いのでしょうが、中には売らんがために意図的に名前を変えている場合もあるようです。
食料品でさえ次々に偽装問題が表面化しているくらいで、園芸植物についてのこういった問題に対する業界の意識も決して高いとはいえず、 |
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