徳原真人のガーデニングABC
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ガーデニングABC

 第49回 春の花傘

今年の春は雪やみぞれが降ったり、少し汗ばむ日があったりで大変です。

私の家でも3月下旬に咲いたヒメコブシのかわいい花が霜にあたり、花弁が茶色くなって痛々しそうでした。 4月27日現在、北関東地方では雑木林の中にポツンと薄ピンクの花を咲かせているヤマザクラも満開を過ぎています。

赤茶色を帯びた新緑の葉と薄ピンクのヤマザクラの花は、対比的でとても美しいものです。 ヤマザクラは樹によって、花の色が白に近かったり、ピンクの色が濃かったりで個体差が大きいようです。 この環境による少しの違いがなんともおもしろく、私はソメイヨシノ以上に好きです。

ソメイヨシノは2〜3月のまだ落葉の季節から、葉を芽吹かせる前に樹冠全体に美しい希望的な明るい花を咲かせるので、日本人には特に好まれています。 花壇計画などを行なうときは、桜の時だけは桜に勝てる植物はないと思えるので、桜の開花前に花のピークをむかえる植物、特に草木類を大切なアイテムとして考えています。
スイセン、原種系のチューリップ、ムスカリ、スノードロップ、クロッカスなどをタイミング良く配置してやると彼女達の持ち味を生かすことが出来ます。

ハナニラの群落
ハナニラの群落ハナニラの群落

私は毎週のように近くの雑木林を散歩の途中で覗いていますが、コナラやエゴノキの林床に雪が降った様にスポットで咲いているハナニラの小さな群落を見つけました。
芽吹き前に日差しが林床まで届いているので、ハナニラたちは気持ち良い環境なんだと思います。


今月から時期に合ったコンテナ作品を紹介します

さて、4月も下旬になってくると色々な色彩の花が楽しめます。 今月よりその時々に合ったコンテナの寄せ植えの作品を紹介します。
これは4月27日に実業之日本社より出版になった「コンテナガーデニング 和と洋の融合」に掲載されている作品の中から、紙面の関係でとても書き切れなかった材料調達の苦労話や裏技的なことなどをお話していきたいと思います。

今回はコデマリを中心に据えた「春の花傘」を解説します。

コデマリの「春の花傘」

コデマリ・小暮邸コデマリ・小暮邸

春はレモンイエローや白い色の花がとても多いです。光線の波長の関係だと思います。
ヤエザクラが満開を過ぎる頃コデマリが咲き始めます。同時に庭や林の落葉樹は、若々しく美しい新緑の時期の始まりです。 花名の通りかわいい手まりの様な花が、弓なりの枝にたわわに付く姿はとても美しいものです。
この白花を生かす為に、ピンクや紫や黄色の花を添える事によって、花木の日本的な優美な感じと草花のかわいらしさが相乗効果を上げています。

私はコンテナに木本類を用いることが好きです。 全体に求心性が出て、日本の風景にもマッチするからです。
コデマリは、静岡県湖西市が切花花材の産地で、市場シェアのほとんどを占めています。

湖西市在住の知人にお願いして生産者から株を分けてもらいました。なんと浜松西インターから車を飛ばして栃木まで届けてくれたんです。ほんとうに涙が出るくらいうれしく、また感激の逸材でした。

コデマリの根締めの部分と草花達の顔コデマリの根締めの部分と草花達の顔

この優美な姿のコデマリを最大限に活かす為、築100年を超える群馬県の古民家、小暮邸の長屋門の所で撮影させてもらうことにしました。 鉢の縁のところから斜め下にミツバアケビを配植してありますが、上部の放射状のコデマリの枝に対し、下方部分の緑のバランスをとるためと作品全体にリズム感を出す為に植栽されています。
また、左右にもみじを配植していますが、コデマリが咲く頃の自然観を表したものです。 (使用した植物材料の10種類については本を参考としてください)



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