徳原真人のガーデニングABC
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ガーデニングABC

 第53回 ちょっと役に立つコッツウォルズの話

いつになったら涼しくなるのでしょうね。

カレンダーは9月になりましたが、まだまだ、日中は真夏の様な暑さです。
今年は梅雨にさほど雨が降らなかったものですから、過ごしやすく梅雨期の割には仕事がはかどった様に思います。ところが、7月中旬に梅雨が明けてからの2週間くらいはとても気温が高くて、本当に今年の夏は乗り切れるかなという感じでした。

ちょうど6月下旬から8月上旬にかけてちょっと広めの個人の庭を手掛けていたので、植え付け後の植栽の管理については本当に良い経験をしました。
5mを超す庭木も数本植栽したので、毎日朝一番の仕事が灌水から始まり、夕方は打ち水で終わるという毎日でした。樹木の事をよく知った植木屋さんでしたら、7月の土用入りしたらお盆が明けるまでは、決して樹木を動かしたりしないはずです。

ちょっと役に立つコッツウォルズの話

コンテナーガーデニングについても、9月といえども月末にならないとほとんど夏の材料と変わらないので、今回はイギリスの事についてちょっと話します。
私は、コンテナの制作と庭の制作はスケールの違いこそあれ、基本的に同じというスタンスで行っています。

写真-1 コッツウォルズの中でも1番美しい
とポールさんが教えてくれたBloclley村

写真-1はイギリスのコッツウォルズ地方によく見かける通り沿いの住宅の壁沿いの植栽です。本当に幅70p〜1m程度の狭くて細長い空間をうまく使って植えられています。白い花はツルアジサイですが、私が住む関東地方の平地では、まず無理ではないかと思います。

ツルバラとツルアジサイそれに、フィゲリウスやホリホックなどがポイントに植えられていて、あまり種類は多くないという事が言えます。狭い空間をバーチカルに利用して上手に植栽している点では、日本でも大変参考になると思います。


写真-2 エリゲロンが植わったシルクガーデン

写真-2は、ウィズレーガーデンに展示されていたシンクガーデンです。要するに、石造りの流しの中に植えたコンテナガーデンです。
多肉植物やダイアンサス、シレネなどの植物やエリゲロンなどの小花の植物(主に宿根草)が植えてあり、あまり植替えを必要としないのでお薦めのスタイルです。



イギリスで見てきた事を日本の庭の中で融合させてみました。

私は石積みに多肉植物が絡んでいる写真-3の様な植栽を庭の一部に組み込んだものがとても好きです。

写真-3 栃木県鹿沼市にある私の作った庭

右上のトンガリコーン型の樹はコニカというコニファーで、1年に5pくらいしか伸びないのでお薦めです。
その右はクレマチス属の在来種クサボタンです。うす紫色のベル型の花が長く咲き続けるのでよく「とってもかわいいネ。何という園芸種ですか?」と聞かれますが、これは日本の山に自生する原種です。
マンネングサの仲間のセダム類とオレガノ(コニカの左)もこの様な石積みの花壇の環境によく合います。

右の写真-4は、ウィズレーガーデンの植物売店で見たワイヤーメッシュに石を詰めたコンテナです。ちょっとワイルド感がある石のコンテナは、カーテンウォールのスケルトンな都市の建築空間にはよく似合うと思います。

写真-4 ワイヤーメッシュのコンテナ
特に植え込む植物の種類が重要です。植物の選択によって、超斬新なデザインになったり、ベタなデザインになってしまったりすると思います。このコラムをお読みの皆さん。さて、なにを植えますか?
春から初夏あたりでしたら、コンボルブルスにマルバストラムなんてどうでしょうか。
これから秋に向けて、セラトスティグマとエリゲロンなどの組み合わせも考えられます。クローゼットからお洋服を取り出して合わせてみる様な感覚で、コンテナの質感と植物を取り合わせるシミュレーションをしてみると、自分のデザインの幅が広がります。
でも、造園屋の私としては、やはり置き処の背景がかなり重要と言いたいところです。




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株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部