徳原真人のガーデニングABC
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ガーデニングABC

 第57回 松を使ったお正月用の寄せ植え


ピッピ

暮れより寒波に見まわれ、ピリッと気持ちの引き締まったお正月を迎えました。 ガーデニングABCのコラムも2年目を迎えました。本年もどうぞ宜しくお願い致します。今年も徳原流の見方で、季節の有用情報をお届けしていきたいと思っております。 その時期らしいお奨めの植物を、コンテナにどの様に使い込んでいくのかといったプロセスについてお伝えいたします。



ピョン太

また、家の庭を1年間かけてモデルガーデンとして充実していこうと思っております。季節ごとの変化と、整備のプロセスや考え方などをお伝えしていきながら、皆さんのガーデニングライフの一助となればよいと思います。一方、私の最も得意な公園等のランドスケープ的花の風景づくりについても、途中経過を断片的にお伝えしていきます。
本年は例年より寒いですね。ペットのピッピもチビ兎のぴょん太もそう申しております。


昔は、冬でもパンジー、ノースポール、ハボタン、プリムラ類とこれでもかと言う具合に、無理して花壇に花を植栽していたように思います。
浜名湖花博が終わった2005年くらいからでしょうか、早朝の霜に耐えてじっと咲く椿やマホーニア チャリティーの黄色い槍型の花や葉の上に降りた霜がなんと美しいかと思うようになりました。1年間大量に花を掃いて捨てるようにデザインしていった反動でしょうかね。

決して楽しいカラフルな冬のガーデニングは否定するものではありませんが、やはり自然が作り出した芸術には、とても太刀打ちできるものではないと感じるようになりました。昨年来紹介しております、「コンテナガーデニング 和と洋の融合」の中でその季節ごとの写真をじっくり撮ってきた経験からも「旬を捉える目」を養っていくことが大切なのだと思えるようになりました。私の自然観やデザインの拠りどころについては、2009年の10月頃からその断片を少しずつ紹介してきたつもりです。

ひかるガーデンズの雪景色ひかるガーデンズの雪景色

左の写真は我家ひかるガーデンズの雪景色です。いらない物、見せたくないものを全て白の綿帽子で隠してくれるので、全体的に白の統一がとれていて実態より美しく見えます。
朝起きて銀世界となるこの風景は、一冬に2〜3回くらいは見られます。わたしはこの風景が大好きです。栃木あたりだと、正午くらいまでには通常雪が解けてしまうので、あっと言う間の風景です。(第45回のコラムの中に雪のない同じアングルの写真が載っているので比較して見てください)

庭の骨格を成す植物
ロウバイロウバイ
マホーニア チャリティーマホーニア チャリティー
カンツバキ(ハイカン)カンツバキ(ハイカン)
セイヨウシャクナゲとイングリッシュホーリーセイヨウシャクナゲと
イングリッシュホーリー

ちょうど暮れからロウバイとマローニアがさいています。寒い時期に黄色の花は、心温まりますね。風のない昼時には、ロウバイがかすかに香りとても幸せな気持ちにしてくれます。
一方マホーニア チャリティーは、ヒイラギナンテンの一品種ですが、濃い緑の葉に槍状の黄色い花が庭やコンテナのフォーカルポイントとなり有効です。冬の花は花期が長いものも多く、安心してゆっくり見ていられるので楽しみですね。

冬の庭には、常緑の緑の葉が「背景の地」となり花木の花や手前や周辺の草花を引きたてる役割りをするので、庭の骨格を成す植物として特に重要です。マホーニアのみならず、アオキ、カンツバキイングリッシュホーリー、スキンミヤ(ミヤマシキミ)、ハイノキ、ツバキ、トキワマンサクなどは家庭用の花木としてお奨めです。

暇な時に植木屋さんや花木センターなどの圃場を覗いてみると大変に参考になります。何故ガーデンセンターやホームセンターの花木売り場でなく、花木センター等の圃場が良いかと言うと、木が成長した時に周りの植物との関係を理解しやすいからです。
私は、圃場で植物を見ることを大切にしています。庭の植栽設計を行なう場合、規格や枝の出方、花のつき方の特徴とその木自体の全体的なイメージを理解し、頭の中にたたきこんで置く為には格好の場所だからです。
大方の植木屋さんは、「オヤジさんの処の木は、手が入っていてどれもすばらしいねー」と第一声にご挨拶すると、大方は見ていって良いよということになります。私はデザイナーなので、オヤジさんの機嫌が良いと、こんな変わり葉のヤツ(樹)もあるんだよという具合に、珍しい品種を見せてくれることもあります。ただし、生産の場に入るので、この呼吸の取り方は微妙ですが。
皆さんは、JA系や植木生産組合の花木センターなどがお手ごろだと思います。

少し話しのスケールが大きくなってしまいました。日本のお正月といえば、何といっても松です。松の変わらない緑は、子孫繁栄、「永久」といった意味合いがあり門松や庭木の主役の座を得てきました。
一方では大手町のクロマツの疎林状の植え込みに見るように、カーテンウォールの高層ビルが立ち並ぶ皇居前の芝生とクロマツの調和が「和と洋の融合」を感じ美しいなと感じます。松には、それ自体に存在感と魅力を有しているのだと思います。

松を使ったお正月用の寄せ植え

今回は、この松を使ってお正月用の寄せ植えを紹介いたします。 正月用の寄せ植えを考える時、松だけは必ず使うという条件設定で考えてみます。通常は、松、竹、梅と定版で用意するのだと思いますが、ナンテンの赤い葉や実、スイセンや福寿草などのおめでたく温かみのある色を添えると良いと思います。昔は、亀や鶴、宝船といった縁起を担ぐ添景物を添えていましたが、住宅の外壁や玄関の建築デザインにマッチしていれば、今風にアレンジして素材を選べばよいと思います。

縦型の鉢(直径28cm)と杯型の鉢(直径36cm)縦型の鉢(直径28cm)と杯型の鉢(直径36cm)

家にあった在庫の植物と近くのガーデンセンターで購入した植物を並べてみました。
やはり洋風の家に住んでいる方が多いと思いますので、やや赤とか黄色の植物を中心や手前に配置すると新春らしい華やいだ感じになります。

鉢は、庭の隅においてあった使い回しの鉢2種です。皆さんにわかり易いように、縦型の鉢(直径28cm)と杯型の鉢(直径36cm)の2タイプについてやってみます。
ここで、鉢の縁にテーピングをして金色のアクリルスプレーを吹きかけておくと、お正月らしくおめでたい感じになります。

鉢にテーピング鉢にテーピング 金色のスプレーで縁取り金色のスプレーで縁取り


寄せ植えは、何処に飾るのか周辺や背後の風景によって随分印象が違ってきてしまいます。
その場所に合ったようなお正月のコンテナをイメージしてください。
下の写真に示された植物達がオールキャストメンバーですから、それぞれのキャストの特徴と持ち味をじっくり眺めながら考えてください。
私は講習会などに呼ばれたときに気づくのですが、あまり上手でない人ほどこの考える時間が短いように思います。

正月用の寄せ植え  オールキャストメンバー

木本類の材料
木本類の材料
実もの類の材料
実もの類の材料
草花類の材料
草花類の材料

縦型のコンテナに挑戦

縦型・正月祝い鉢縦型・正月祝い鉢

まず縦型のコンテナに挑戦です。
鉢が縦に長いということは、鉢の高さを超えるくらいのマンリョウを中心に持ってきてみます。松の常緑とマンリョウの赤が古典的な色なので、根占(ねじめ)は明るい色のハボタンやバラ咲きのプリムラ、白のビオラなどを寄せて明るく華やかにしてみます。
この時に、マンリョウの赤い実だけが突出して見えないように左斜め後ろに赤いナンテンの葉と右手前に赤紫色のハボタンを配してみました。

空間構成上の理屈を言うと、マンリョウの赤実とナンテンの葉と赤のハボタンを結んだ線が不等辺三角形になっていて、安定感と奥行き間を醸し出していることになります。


杯型のコンテナに挑戦

2番目に杯型の鉢に挑戦します。これは玄関先の台とか出窓のようなややレベルの上がった目線の近い場所に置くことを想定して制作してみます。

「初春」とか「新春」などの言葉から連想する何か明るい、そして地面から新しいものが生まれてきそうな感じをイメージして制作してみます。

コケを貼る前のコンテナコケを貼る前のコンテナ

スナゴケスナゴケ

スイセンのテータテートが可愛らしく咲いて店頭で売られていたので、可愛らしく新春らしさを追及してみました。背後に濃い紫がかったハボタンと黒赤いナンテンを配することにより、スイセンの黄色がより可愛らしく見えます。それを強調するようにうすい紫色のネメシアを添えてみました。
土の中からむくっと生え出してきた感じを出すためにスイセンの手前、サイドには何も植えないようします。

左の写真を見てください。お正月のコンテナとしては、少し泥っぽい感じがします。

見える部分にスナゴケを張っていきます。そうすると瑞々しさとテラコッタの鉢の金色の縁取りが生えてきますね。スナゴケは、山野草などを扱っている園芸店に売っています。スイセンは4号鉢程度のスイセンを3鉢使用していますが、お正月なのであまりケチらないで豪華に寄せてみたらよいと思います。



杯型・正月祝い鉢杯型・正月祝い鉢

皆さんどうでしたか。
本年も良い一年であることを祈っております。
少々湿っぽい景気の昨今でありますので、私は少しエネルギッシュに活動していこうと思います。
何処かで皆さんともお会いするかもしれません。


Bloom Field
株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部