ソメイヨシノが4月になってから見ごろを迎え、チューリップも4月20日過ぎまで十分に見られる状態でした。春の花をじっくり楽しめたのではないかと思います。
下の写真は、とちぎわんぱく公園の4月18日の景観です。例年と比較すると10日くらい開花が遅れています。雑木の新芽の萌木色がペパーミントグリーンやエンジ色、黄緑色などとても優しく多彩で、一年で最も美しい時期です。公園の植栽設計をする場合は、季節感や花の配色のことを注意しながら、地元の皆さんに気持ちよく利用していただけることをモットーとしております。そのためには植栽はほんの一部で、気持ちよく利用できるサービス全般が大切ですね。
芽吹きの頃の雑木林とビオラ・チューリップ
公園は地域のみんなのもの
プルモナリア
ちょっと付け足しですが、この時期に咲くプルモナリアはお気に入りの植物の1つです。
緑の葉に銀色の梨地模様の斑の出方と紫の花がとてもエレガントです。コナラやカエデ等の半日陰となる林床部分を好むようで、とても丈夫な植物でお奨めです。
色彩計画については、あまり得意ではないのですが、庭や花壇のデザインを考える時避けてとおれない部分です。 下の写真は家の近所の県道沿の花壇です。パンジーとシバザクラが満開で、思いっきり春だと主張しています。
配色の点から考えて見ますといろいろな色が混在していて、グリーンの背景や前付けの芝等の縁取りがないので、色彩的にややきつい印象を受けます。
一方で、右下の写真はチューリップとビオラの花が混色されていますが、背景にツバキ等のみどりがあるために、同じ混色でも落着きを感じます。
県道沿いの植栽
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混色花壇
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マンセルの色相環
草花の配色を考えるとき、一般的にはマンセルの色相環というチャートを活用します。
たぶんコスメティックや服飾デザインなどもこのチャートを使っていると思います。
隣り合っている色(色相)は、同系色と言い周辺の色を取り合わせて配色すると、類似的な調和がとれていることになります。
正反対側の色は、それぞれに目立つ引き立てあう色です。例えば信号の青緑と赤は、双方に引き立てあい、目立つ存在となります。
左下の写真は、バショウ等の緑を背景にサルビア スプレンデンスが群植されていて、補色の関係を適用した配色です。とてもビビッドな配色でトロピカルな印象を受けると思います。意図が明確に伝わり、よいデザインであると思います。
右下の写真は、紫の花(ビオラとチューリップ)と黄色の花(レモンイエローのビオラとアプリコットのチューリップ)をストライプ状に複列で配植した花壇です。実は右奥のレモンイエローのビオラの更に右奥に紫系のラクスパーが植栽されていて、補色×グラデーションがトリプルコンビネーションになっています。 ここは、栃木でも花の綺麗な公園として知られていて、訪れた利用者が半月単位で進化する花の景観を楽しめるようにしてあります。こんな話を聞くと、ぜひラクスパーが咲くころも来てみたいと思うはずです。
おまけに、ラクスパーが咲くころは、800球のアリウム ギガンチュームと350本のデルフィニウム、1000株のオルレアが一斉に咲きとてもパンチが効いていて、且つエレガントの花壇が見られます。
原色の配色植栽
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補色の関係を適用したチューリップの植栽
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マンセルの色相環の中で、三角形で結ぶ3つの色(色相)をピックアップして植栽する方法もあります。上で述べたように、2色を対峙させる補色の配色手法だと、やや緊張した重い感じを持つことがあると思います。そこで、色の設定イメージを変えないで、色の幅を少々持たせる手法です。
紫のワスレナグサと黄色のビオラに赤いチューリップを添えています。子供のための公園に相応しく可愛らしさを演出しています。花壇の中央にある緑色の葉は、チューリップの咲きガラでなくアリウム ギガンチュームです。 縦に連続する5ヶ所の円形花壇に700球のアリウム ギガンチュウームが植栽されています。
咲き揃った景観は圧巻ですので、ぜひ見に来てください。見ごろは6月に入ってからですね。
子供のための円形花壇
実際に皆さんが庭やコンテナデ植栽する場合は、公園のようにセオリー通りきっちりされることは少ないと思います。ここからは応用問題です。
左下の写真は、クサソテツ(コゴミ)の手前に黄色、オレンジ系のアガスターシェ等を植栽している例です。半日陰の植込み地なので、緑を基調にしながら少量の草花を前つけに効果的に植栽している、良い例です。 右下の写真は白やブルー系の草花をベースに、エンジ色のビオラやペッシカリア等を添景で用いている例です。半月ほどすると紫系のデルフィニウムとクレマチスが咲いてきます。私はこの薄紫系の配色がとても好きです。少しおとなしい配色になってしますため、黄色とオレンジのハナビシソウを少量はさみ込んであります。
緑を基調とした日陰の花壇
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寒色系の花壇
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背景と添景木
さて、草花だけでなく木本類の植栽についても見てみましょう。
草花程は色のコントラストは明解ではないのですが、右の写真に見るように背景の植栽(通常は緑である場合が多い)と手前の添景木を補色の関係を考えて植栽した植物がカエデの写真です。
特に和風(自然風)の庭では、葉色の変化や効用など季節の旬を捕らえた変化を楽しめることが特徴だと言えます。5月の上旬に背景であった緑の中に、白くパッとオオデマリの球状の花が咲いてくれると楽しい物です。
淡い色のかわいい花を際立たせるためには、周辺の花や植物の色の明度を下げると主となる花がパッと引き立ってきます。 右下の写真を参考としてください。また、ロベリアやパープルベインの薄水色のペチュニアを引き立たせるために中央に植えてある植物はセリンセです。青みがかった濃い紫の花がとっても存在感を放っています。
ライムイエローの潅木はカリオプテリス ウースターゴールドです。夏向けの添景植物としてお奨めです。
補色 チューリップ アンジェリケ
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補色 カリオプテリス ウースターゴールド
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コッツの家 小端積み花壇
前々回より我家のコッツハウス(自家製)の制作課程をお伝えしてきましたが、下の写真に見るように完成いたしました。 お奨めのカリオプテリスが植栽されているのも、コッツハウス脇の小端積み花壇です。
5月14日(土)の1日だけオープンガーデンを開催いたしました。
徳原真人×野恵聲 コラボ展 『 みどりの雫 』 が開催されました。
2011年6月10日(金)〜12 日(日)
Gallery LAPIN ラパン(東京都渋谷区神宮前)
詳細情報は、こちらから
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