徳原真人のガーデニングABC
  1. トップページ  >  
  2. ガーデニングABC  >  
  3. 徳原真人のガーデニングABC  >  
  4. 第65回 ご家庭で楽しむコンテナデザイン
ガーデニングABC

 第65回 ご家庭で楽しむコンテナデザイン

暑かった夏も一段落です

夜半に耳をすませると、虫の音が聞こえる季節となりました。
我家では、夏の間に義父が育てた鈴虫を庭の植え込みに放しておきました。数日前から、その鈴虫達が育ってきて共鳴するようになってきました。虫かごで飼っているのと違って、とても自然な感じで風情があります。

9月に入りましたが、まだ花屋さんの店頭では夏の花が引き続いて売られています。ユウゼンギクやリンドウの鉢物が一部出初めてきましたが、やはり9月のお彼岸頃を過ぎないと秋の草花が多く出回るようにはなりません。

ご家庭で楽しむコンテナデザインを3回に分けてお届けします

ガーデニングABCのコラムでは、コンテナ制作の考え方を一応理解したものとし、さらに家庭で手軽に楽しむための応用版・お手軽版として3回に分けて紹介しようと思います。形態的なものを参考にするには、良いアイデア箱になると思います。

ベランダガーデン&フラワーコンテナの植栽デザイン教室ベランダガーデン&フラワーコンテナの植栽デザイン教室

昨年の9月下旬にベランダや室内で楽しむコンテナガーデニング「フラワーコンテナの植栽デザイン教室」というビデオの収録をしました。
DVDの内容は、テーマを4つ決め、それぞれのテーマにそって植物選びから組み合わせの手順、テイストを醸し出すための勘どころを解説しています。テーマは、アジアンテイスト・ヨーロピアンテイスト・和テイスト・シンプルモダンの4つです。私の植栽デザインの考え方を丁寧に解説した実践版です。

DVDの中に、アジアンティックなリゾートの雰囲気をテーマとしたコンテナの制作があります。熱帯雨林の中に生えるゴムノキの仲間の『フィカス』と熱帯高木の幹を這い上がる『フィロデンドロン』を主に使ったデザインです。

アジアンテイストに使用する植物 アジアンテイストに使用する植物 フィカスとフィロデンドロン 出来上がったアジアンテイストのコンテナ出来上がったコンテナ

一方、これが中米やオーストラリアなどの空気がカラッと乾いたドライテイストなリゾートをイメージしたらどんなデザインが可能かという視点で考えて見ましょう。
そして、家庭でも気軽に楽しめる低コストのお手軽版でトライしてみようと思います。

ドライな環境で直ぐイメージする植物がティランジア類です。エアープランツなどと言う名称で店頭で売られています。DVDでも丁寧に説明いたしましたが、使用する植物がどんな環境で自生し、どんな性質を持つのかは最低理解しておいてください。属にエアープランツはまったく水をやらなく、放置しておいても大丈夫と思っている人がいるかと思いますが、必ずしもそうではありません。

『ティランジア(Tillandsia)』は、パイナップル科の植物です。北アメリカの北緯35度から南アメリカの南緯43度の間に自生し、海岸から標高4000mの高地まで分布します。
この分布からも解るように、耐寒性が強く乾燥に耐える種類も多いと言うのが特徴です。
自生場所としては、樹木の枝や岩、屋根などに着生し、一部の種類では地生する種類がみやれるそうです。

流木に着生したティランジア類A流木に着生したティランジア類A 流木に着生したティランジア類B流木に着生したティランジア類B

私は、現地で見たことはないのですが、図鑑や植物自生の写真集などを見ると,彼らが過酷な環境でも頑張っていることが良く理解できます。
上の写真は、佐賀県の唐津郊外にあるポンポコ村と言うベゴニアや観葉植物を展示した鑑賞温室内の写真です。この植物園では、流木に又釘を打ち付けて、ワイヤーやシュロ縄の様なもので固定、活着させているようです。現地での自生情景を連想させるような上手い展示ですね。私は、シルバーグレイ色の植物を好むものですから、このようなドライで男性的な植物は大好きです。

ティランジアは、週に1度程度、根茎を30分ほど水につければ、メンテナンスは、それでOKです。
岩などに着生し、あまり土(園芸用度)を必要としないと言うことから、明るいキッチンやリビングルームなどにも手軽に持ち込み易い植物です。

こんな生育環境を理解して、キッチンにゆかりのあるツールを用いてデザインしたいと思います。ここでは、壁にハングさせるタイプとテラスやテーブルに置く場合の2タイプについてトライしてみます。

■壁にハングさせるタイプ【泡だて器のティランジア】

ティランジア ストリクタと水苔と泡だて器材料:ティランジアと水苔と泡だて器

下の写真は、今回使用するティランジア ストリクタと水苔と泡だて器です。泡だて器は100円ショップで購入したものです。


ティランジアのつけ方ティランジアのつけ方

水苔はバケツに30分程度漬しておいて、水を良くきってからピンポン玉の大きさに丸めて、泡だて器のワイヤーの中に挟込むようにして、70%程度充填します。

次にティランジアを植え付けたい位置にワイヤーの間に挟みこみます。この時にティランジアの株が固定できるように、3、4枚の葉をワイヤーの後ろ側に挟み込むようにして止めていきます。

上の写真のように、割り箸などを使って水苔を補いながら株を固定してゆきます。葉の出方が自然に見えるようにセッティングするのがコツです。

今回は、3株のティランジアを植え付けました。最後に鋏で回りに飛び出した水苔をカットしてしあがりです。
これを、我家の2階に上がる階段室のサッシの窓枠に吊るしてみました。


泡だて器のティランジア 泡だて器のティランジア

■テラスやテーブルに置く場合【アンデスグラスのティランジア】

アンデスグラスのティランジア

同じティランジア ストリクタ を使ってグラスにアレンジする方法を考えて見ます。

この夏、なでしこジャパンが私たち日本人に希望と勇気を与えてくれた最大の出来事であったと思います。決勝戦で澤ほまれ選手がゴール前でボレーシュートを決めたシーンは記憶に新しいと思います。
私の脳裏に今なお焼き付いているもうひとつのシーンは、ワールドカップを宙にかざして喜び合うナデシコ達の光景です。彼女達の背後に降り注ぐ金のしぶきの光景がとても美しく、金のシャワーが勝者に相応しくとっても豊かなものと感じました。


材料:カラフルストーン、ガラスコップ材料:カラフルストーン、ガラスコップ

私の家にも幸運が迷い込んでくるように、グラスの中に金色のクリスタルブロックを入れて、朝日に輝くようなものを制作しようと思いました。
材料は簡単です。こちらも100円ショップで購入したポリエチレン製の薄金色のカラフルストーンと言う商品が3個と厚めのアンデスグラスと言うガラスコップ1つです。

グラスの中にカラフルストーンを八分目入れ、ティランジア3株をバランス良く配置したら残りのブロックを充填して仕上がりです。ティランジアが倒れてしまう場合には、ワイヤー(針金)をUピン状にして株を上から下に挟むようにして、ワイヤーの2本の先端をグラスの中に突き刺すと、位置が固定できます。

今回は、お手軽版を静止画でお伝えいたしましたが、やはりデザインを創り上げて行くプロセスは、DVDの動画の方が伝わり易いのかと思います。
「フラワーコンテナの植栽デザイン教室」DVDは、こちらよりご覧下さい。

次回は「小さい秋見つけた」というキーワードでコンテナの制作をお届けする予定です。


■徳原真人先生によるデモンストレーション開催

デモンストレーション開催クリックするとPDFがダウンロードできます

関東地方の閲覧者に限りますが、陶芸の郷益子で陶芸家喜多里加さんとのコラボレーションで、寄せ植えのデモンストレーションを行ないます。
日時は、9月23日(金) 午後2時から1時間余りの時間帯です。
私は本業が植栽デザイナーですので、魅力的な植物に出会ったとき、植物の側からこんなイメージの植栽やコンテナの寄せ植えをしたいなと思うことがあります。
しかし、植物素材を100パーセント生かす市販品と言うのは出会えないのが普通です。鉢の側面に複数の穴が空いていたら、この植物は生かされるのになと考えつつ。
こんなデザインプロセスの素朴な私の望みを聞いてくれたのが、今回の喜多さんです。オンリーワン中のオンリーワンのワークをわずか1時間あまりの中で凝縮して行なおうと思います。

会場にいらしてくださった皆さんとは、空気を解して直にデザインのプロセスと意図が伝わると思います。
興味のある方は、チラシを見て是非いらしてください


Bloom Field
株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部