徳原真人のガーデニングABC
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第79回 季節を色どるガーデニング

文・写真/徳原真人 掲載日:2012年11月2日

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ぴりっと冷え込んだ秋の花を楽しもう

10月の下旬から随分冷え込んできました。朝晩の気温が下がり、空気が乾燥すると花の発色美しくなってきます。そして、バラのファンにとっても10月下旬から11月は秋バラの季節ですね。本当にバラを愛し、夏の間まじめな管理をしてきたかどうかの評価が現れる次期です。我家も四季咲性のビアンブニュやナエマなどが咲き始めました。しかし、株元の1/3くらいの葉に黒星病が出ています。バラは梅雨の季節の前後に予防と治療の両方の薬剤散布をする必要がありますが、仕事や日々のスケジュールからすると私には無理ですね。

それでも、夏の間に伸びた新枝からちらほら咲いています。春の1/4くらいのボリュームですが、秋の澄み切った空にとても綺麗です。
 空気が澄み切って、気温が下がりだして美しく咲く代表選手がダリアとベゴニア センパフローレンスです。秋は紫や黄色の花が多いように感じます。その中で、ダリアの赤系やオレンジ系の花はフォーカルポイントとして貴重ですね。

センニチコウ ファイヤーワーク

夏から咲き続けたセンニチコウなども最後の力を振り絞って美しく咲いています。右の写真はセンニチコウ ファイヤーワークとアノダです。特にアノダ クリスタータはお奨めです。アオイ科の北米産の植物で、初夏より咲き出しますが、10月ころから芯がしっかりしてきて花数も多くなります。クジャクアスヤー、ダリア、宿根性サルビアや上記のセンニチコウなどとの相性もとても良いと思います。



アノダ

アノダの拡大

背景の景観をよく見て効果的な色合わせを現場で考えましょう

今の時期はパンジーやビオラなどの冬春花壇草の植替え時期です。色使いの配色の基本の基の話をしておきます。

美しい景観を創っていくとき、第一にバランスが大切です。使用する材料(植物)のバランス、色彩のバランス、そして質感のバランスです。
花壇のコンクールなどを見ると地域の風土や環境とかけ離れて、そこだけを切り取ったようなデザインを時おり見かけます。周辺の景観との調和とバランスも重要なことだと思います。


蕎麦畑

いろいろな植物を組み合わせるとデザインが生まれると思っている人が多いと思います。
しかし、組み合わせる意図(方針)が明解でないと、必ずしも良いデザインの結果が得られません。
極めて単純な事例を取り上げると、右の蕎麦畑の写真に見るように緑に白一色の景観でも美しいと感じます。素材の統一とバランスが良くとれています。

いろいろな花壇を見て廻ると、使用する材料の質感の統一や対比と言った原則が考えられていないものが多いと感じます。もし自信が無い場合は、周辺の景観に合う植物を1つに絞って考えてみるイメージトレーニングをすると、少しずつ目が肥えてきます。


例えば、白や淡いベージュ色の町並みに、リズミカルに赤のアイビーゼラニウムだけがウィンドウボックスやハンギングバスケットに統一して飾られている光景を想像してみてください。これだけでもステキなイメージになりますね。


パークヒルズ高層棟花壇 10月シュウメイギク

第2に大切なことは、植え込む植物がその場所の環境に合っていて、生き生きと育っていることです。
いくら形態や色彩的デザインの組み合わせが良くても、植物が生き生きと育っていなくてはだめです。


第3に、本来植物の持っている形態的な特徴をタイプごとに整理し、めりはり良く配置すると美しく見えます。


吉田公園の花壇

例えば、宿根草と1年草を用い帯状の花壇を作る場合、植物の高低差の断面構成を考えて配置を行なうとめりはりの効いた花壇が出来ます。
右の写真は、植物の持つ形態的なタイプの違いを3つのグループに分け(垂直の縦のラインがはっきりしているもの。 お椀を伏せた横にボリュームのあるタイプ。 横に這うタイプ )それぞれの断面構成を勉強しながら、吉田公園の実践講習会で生徒の皆さんにプランして植え付け、月に1度の管理をしてもらった花壇の様子です。


下の写真は集合住宅の駐車場から住棟に抜ける高層マンションに挟まれた狭いボーダー型の花壇です。

ちょうど10月下旬ころの写真ですが、午後3時ころの斜めの陽射しを受けてシュウメイギクやランタナが最後の力を絞って凛と咲いています。
このエリアは、4月にピンクのサトザクラが咲き、5月にエントランスアーチのバラが咲きます。そして夏は定番のインパチェンスやアゲラタム、コリウスなどが咲き誇っています。晩冬から早春にかけては、クリスマスローズやプリムラ・スイートアリッサムとビオラ達がひっそりと咲いています。毎日ここを通る数百人の住人の皆さんに、「行ってらっしゃい。クラブ活動頑張ってこいよ!」と花が呼びかけているようです。
四季の変化に応じて、花の種類と色をしぼり込むと凛としたそれぞれの季節の表情が出てくると思います。

春に向けたガーデニングシーズンの真只中です。さあ!エンジョイしましょう。

Bloom Field
株式会社アイ・アンド・プラス Bloom Field事業部