土地のポテンシャル、特に借景を生かした庭づくりについてのレポートです。
6月1日、2日と北海道の庭づくりに行ってきました。この庭は造園家の山本紀久氏の設計です。植栽設計では多分ナンバーワンの実力といっても言いと思います。
昨年の秋から始まった作庭工事ですが、北海道の遅い春を待って2年目に入りました。右の写真は、昨年10月の地型造成の段階です。
背後の防風林の森を借景として生かし、敷地内のシラカバ等の既存樹を上手く取り込みながら骨格と成る高木類の配置を決めた状況です。
特に北海道の植生にこだわって植栽を決めているのがポイントです。
今回は、低木や草本類の植栽が中心でした。防風林の中には、オオウバユリやコバイケソウなどの群落が自生していて、庭に植えたヤグルマソウの銅葉色の葉が背景の森に馴染みつつあるのが解りますか。(写真上)
当地は新千歳空港と札幌の中間に位置する長沼町です。
北海道の中で今までになかった庭になると思います。20年くらい前に帯広に登場し話題を呼んだ竹紫ガーデンやその後に続く○○ガーデンとはまったく設計に置ける着想の基点が違うので、今後楽しみにしてください。
このガーデンのオーナーはアスパラガスの生産農家である押谷ファームです。
40歳くらいの若い新規営農者で、ファームの奥様は上野ファームや梅木さんが仕掛けるノーザンホースパークにあこがれ、自分のところにも小規模ながらガーデンを付帯するアスパラガス農場にしたいと夢見ていたそうです。
私の直感として、小規模の後発ガーデンが上野ファームや風のガーデンなどと比べ存在感を発揮することは無理だと感じ、後背部に林帯幅40メートルの広大で豊かな林相の防風林を見方につけることが大切だと感じました。
右の写真は、農園の奥様が自前で作ってきた苗売り場兼ガーデンです。今までの北の大地での奮闘記も含めて時々レポートしたいと思います。