三輪先生のガーデニングABC
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■第1回 「いずれがアヤメかカキツバタ」(2/2)

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このような花の構造を持った植物をまとめて、植物分類の上ではIris(属)と名づけられています。Irisは本来のラテン語読みでは「イリス」ですが、英語読みの「アイリス」の方がなじまれています。「アイリス」というと、昔から切り花でもおなじみのアイリス(ダッチ・アイリス)をイメージされる方が多いと思いますが、アヤメやハナショウブも同じアイリスの仲間なのです。
アイリス属の植物は世界に約270種もあり、いくつかのグループに分けられていますが、日本でよく目にするものは上のアヤメやハナショウブなどのグループとダッチ・アイリスなどの球根を持つグループ、それにもうひとつ、より立体的な大型の花で、ほとんどあらゆる花色の園芸品種があり、ショウガのような根茎を持ったジャーマン・アイリスのグループでしょう。

アヤメのグループは、もちろんすべてではありませんが、日本の気候でわりあいよく育ちます。土質もあまり選びませんが、種類によって乾湿の好みが違いますから、それに応じた環境を選ぶことは必要です。
植えっぱなしだとだんだん株の勢力が衰えてくるものが多いので、3年に一度ぐらい株分けをして植え直してやるといい状態を保てます。
多くの種類は花が終わった直後か秋の初めごろが植え替えの適期なので、気に入った花を選んで株分けをしてもらえるのが好都合なところです。
イリス・レチキュラタ
【写真解説】イリス・レチキュラタ(Iris reticulata): 小型の球根性の種類で、青色や紫色の園芸品種がいくつかあり、暖地では早いものは2月中から高さ10cmぐらいで咲き出します。葉は花が終わったあと長く伸びます。
ジャーマン・アイリス
【写真解説】ジャーマン・アイリス:いくつかの野生種の交雑によってできたグループで、園芸植物の中でも最も花色の豊富なもののひとつです。最近の優秀な品種は花の大きさが20cmにもなり、1本の茎から5個以上の花が次々に咲きます。
ダッチ・アイリスなど球根性の種類は、9月頃に10cmぐらいの深さに球根を植えつけます。
丈夫な品種は植えっぱなしでも毎年咲きますが、やはり3年ぐらいで葉が枯れたあとに一度球根を掘りあげて、植え広げてやった方がいいでしょう。
春早く10cmぐらいの高さで花をつけるイリス・レチキュラタ(Iris reticulata)という種類の園芸品種の球根も最近ホームセンターなどでよく見かけます。
鉢やプランター植え、あるいは自然風の植え込みなどに適しています。

ジャーマン・アイリスの仲間は冷涼で乾燥した気候を好みます。
このため、花の美しい優良な品種は日本の高温多湿な温暖地では腐りやすく、あまり適していません。
植える場合は日当たりがよく、排水のいいところを選んで土を高く盛り上げて植え、酸性の土を嫌うのでほかの草花よりも石灰分を多く与える必要があります。
もっとも、古い丈夫な品種は畑の縁などでよく咲いているのをときどき見かけることもあります。
最後にクイズをひとつ。
アヤメでもカキツバタでも、あるいはハナショウブでもいいのですが、この仲間の葉は株の根元から左右に1枚ずつ交互に出ていますね。反対側から見てもまったく同じに見えます。ふつう植物の葉には裏表がありますが、アヤメの仲間の葉はどちらが表でどちらが裏でしょうか。
これはけっこうむずかしい問題かも。正解は次回をお楽しみに。
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